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2019/10
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オデッセイ
 火星探査アレスⅢ計画で作業に従事していた6人のクルーは、激しい嵐が到来することに気づいた。すぐに退避しなければならないという警告が発せられる。まだミッション半ばということもあり、様子見をしようとする意見が多かったが、ハーミス号に乗り移ることになった。その途中、ワトニーにアンテナが直撃し、吹き飛ばされてしまう。ルイスは彼を探そうとするが、全く前が見えない状態だし、ロケットが傾きこれ以上判断を躊躇すれば、火星から飛べなくなってしまうところまできて、船長の判断でエンジン点火となり、かろうじて火星から離陸できた。報告を受けたNASAではサンダース局長が、ミッションを達成できたが、ワトニー飛行士が行方不明になり、生存の見込みがないと発表した。ワトニーは、酸素がなくなるという警告で目を覚ました。腹部にはアンテナが刺さっていた。何とか居住ベースに戻り、アンテナを引き抜き縫合した。一息つくと、今後のことを考えた。地球に連絡をとることができたとしても、救出ロケットが来ることになっても、最低4年はかかることになる。現在基地にある食料も全部かき集めても1年分しかない。そこで、彼はあれこれと考えを巡らす。幸いにも彼は植物学者であり、食料のなかからジャガイモを見つけ、これを栽培しようと思い立った。しかし問題は水の生成だった。それはヒドロジンを加熱することによりできた。あとは、基地内にスペースを作り、火星の土を敷き詰め残されていたクルーの排泄物を肥料にしてジャガイモの栽培をおこなった。こうした孤独の作業をしていていたワトニーは、ある日NASAのエンジニアのミンディが火星の基地で動く物体に気がついた。報告を受けたこの計画の統括責任者ビンセントは、火星の監視を強化するように命じた。食料の生産の見込みができたので、ソーラーや予備電源でローバー(探査車)を使って、かつて使用していた探査装置を掘り起こし、地球との通信を試みた。すぐに、ビンセントたちも気がつき、古い装置に新しいプログラムで対応させ、キーボードでの通信が可能になった。ハーミス号のクルーたちが、ワトニーの生存を知ったのは、地球への帰還がまもなくというところだった。順調にみえたワトニーの計画だったが、あるときエアロックが壊れ、ワトニ-のヘルメットにも亀裂がはいるという事故が起きてしまう。せっかくのジャガイモ畑も一瞬で凍りつき全滅してしまう。残ったジャガイモを食いつないでも、後300日分しか残っていない。そこで、NASAは急遽彼への物資を送るためにロケットを打ち上げるが、急ごしらえもあり途中で爆発してしまった。すると、宇宙力学の学者であるリックがある計算をしてビンセントに伝える。それは、ヘルメスのクルーが地球に帰還せず、再び火星に向かい、ワトニーを救出し、その岐路中国の探査船から補給を受けて地球に帰るというものだった。この計画を実行しようとするビンセントの上司のミッチはサンダース局長に進言する。しかし、彼は躊躇する。ワトニーの救出にクルーが向かい失敗すれば彼らも犠牲になってしまうからだ。結局、サンダースはこの計画を却下してしまう。すると、ミッチはこの計画をハーミス号に送る。彼らはNASAの命令違反になっても、やろうという合意に達し、再び火星に向かうのだった。
 火星に一人で取り残されてしまい、なかなかポジティブには生きられないものだが、彼には知恵と知識があり、工夫して難局に立ち向かう。
こんな風にできるものかなと思いつつも、結局一気に見せてしまう。さすが、宇宙ものにも強いリドリー・スコット監督だ。ただ、宇宙空間でのキャッチは「ゼログラビティ」でもそうだったが、あんなにうまくいくはずがあるまい。それを差し引いても、見応え十分。


監督:リドリー・スコット
出演:マット・デイモン、ジェシカ・チャステイン、ケイト・マーラ、キウェテル・イジョフォー、クリステン・ウィグ

2016年米映画                           上映時間:144分
ヘイトフル・エイト
 南北戦争から10年後のワイオミング。雪の中を走る一台の馬車があった。すると雪の中、一人の男が立ちはだかった。男はかつて北軍の少佐マーキスで、現在は賞金稼ぎをおこなっていた。馬車の中には賞金稼ぎのジョンが乗っていて、レッドロックの町に女性殺人犯デイジーを護送中だった。そこで、マーキスが射殺した手配犯も馬車に乗せて、先を急いだ。すると、今度は元南軍のクリスが馬が倒れたということで一緒に乗った。そして、吹雪がひどくなってきたので、中継地点のミニーの店で休むことにした。すると、店には見知らぬ留守番司会なかった。違和感を持ったマーキスは用心する。店には絞首刑執行人オズワルド、カウボーイのジョー、 南軍将軍サンフォードがいた。こうして合計8人で、吹雪の夜を過ごすことになった。この後、8人は恐怖の夜を迎える。最初はかつて、戦場で相対したことのあるマーキスとサンフォードだったが、がマーキスのある告白で撃ち合いになり、サンフォードが死んでしまう。その後、残った連中の関係や自己紹介が嘘で固められていて、次々に殺人がおこなわれていく。 これまでタンティーノ監督作品に出演したことのある俳優陣が一同に介して密室に閉じ込められて殺し合いをするという作品。南北戦争後の世相を反映させてか、黒人への差別表現が満載だが、前作「ジャンゴ 繋がれざる者」でも同様だった。それと、本作の音楽はかつてマカロニ・ウエスタンで一世を風靡したエンニオ・モリコーネが担当している。さらに美術監督に種田陽平が起用され、撮影にはウルトラパナビジョン70が使用されたという。少し長いが、これも作風だと思って観ていた。


監督:クエンティン・タランティーノ
出演:サミュエル・L・ジャクソン、カート・ラッセル、ジェニファー・ジェイソン・リー、ウォルトン・ゴギンズ、デミアン・ビチル、ティム・ロス、マイケル・マドセン、ブルース・ダーン、チャニング・テイタム

2015年米映画                    上映時間:168分
ピエロがお前を嘲笑う
 ドイツのハッカー集団CLAYの一員だったベンヤミンはユーロポールに自首し、ハンネ捜査官の取り調べを受けるところから物語は始まる。彼は14歳の頃からハッキングの技術を磨き、MRXという伝説のハッカーに憧れていた。大学に入ると、かつて片思いの同級生マリに偶然出会った。彼女が進級試験に悩んでいるのを知ったベンヤミンは試験問題を盗み出そうと、大学に忍び込むが、警備員に見つかり捕まってしまった。初犯ということもあり、50日間の社会奉仕活動を命じられたベンヤミンは、その活動中にマックスという男と知り合った。彼はベンヤミンと違い自信をもって奔放に生きていた。マックスはハッカーとして2人の仲間と活動していた。そこに、天才的なハッキング技術を持ったベンヤミンが加わり、CLAYを名乗ることにした。彼らはベンヤミンを中心にドイツ国内のあらゆる企業にハッキングをしかけて成功する。彼らはマスコミにも取り上げられ、一躍有名人となった。しかし、CLAYのことは当然MRXも知っているはずなのに、こちらはまったく無視されていた。そこで彼らは、MRXの関心を惹くためドイツで一番セキュリティが高い連邦情報局のハッキングに成功した。その際、ベンヤミンが自らの技術をMRXに示したくて、ある情報を盗み、MRXに示したのだ。しかし、それはMRXによってロシアのサイバーマフィアに売られ、その結果一人のハッカーの死を招き、CLAYが犯人であるかのように報道されてしまった。そこでユーロポールによる捜査が入ることになった。それでも、ベンヤミンは単独でユーロポールにハッキングする。しかし、その結果今度は、ベンヤミン以外のCLAYのメンバー3人が殺されてしまう。こうして、次は自分が殺されるのではと恐れて、自首したのだという。こうして、経緯をハンネ捜査官に語ったベンヤミンだった。そこで、彼はユーロポールに協力し、MRXの逮捕への仕掛けをおこなった。その結果、新しい名前を獲得して新たな人生を送ることになった。ところが、ハンネ捜査官はベンヤミンの供述に疑問を持ち、彼の証言の裏を取るのだった。
 果たして、真実はどこにあるのか。最後のどんでん返しが待っていた。
 小気味のよいラストなのだが、ただハンネ捜査官の判断があの通りになるのかはちょっと疑問だ。いくら、MRXは脅威であったとしても、CLAYのベンヤミンもまた、強力なハッカーには違いないのだから、そうそう簡単に自由にはしないのではなかろうか。ともあれ、ハリウッドでのリメイクもされるということなので、そちらも期待したい。
 

監督:バラン・ボー・オダー
出演: トム・シリング、エリアス・ムバレク、ヴォータン・ヴィルケ・メーリング、アントニオ・モノー・Jr、ハンナー・ヘルツシュプルンク、シュテファン・カンプヴィルト、トリーヌ・ディルホム

2014年独映画                                         上映時間:106分
不屈の男 アンブロークン
 1920年代イタリア移民の子として差別といじめにあっていたルイス・ザンペリーニ(ルイ) は、反発して悪さばかりをしていた。そんなルイに陸上ランナーになるよう勧めた。ルイはメキメキと本領を発揮し、高校生でオリンピック選手として、1936年のベルリンオリンピックに出場した。ところが、第2次大戦の勃発に伴い、ルイは空軍に入り爆撃手として参戦した。ある日、味方の救出に出動したが、乗っていた飛行機のエンジンが故障し海面に不時着した。助かったのはルイとフィルら3人だけだった。ボートで漂流しながら救援を待ち、47日めに日本軍の船に発見された。彼らは近くの島に捕虜として連行された。その後、日本の大森にある東京捕虜収容所に移送された。そこには、英語の話せる渡辺伍長がいた。彼は捕虜たちから「バード」と影で呼ばれ恐れられていた。それは、捕虜たちに虐待を繰り返していたからだ。渡辺はルイがオリンピック選手だと知ると、執拗に彼を標的にした。それは理不尽極まりない暴力だった。やがて、渡辺は軍曹となり他の収容所に移動となった。そして、東京も空襲され、捕虜たちは直江津に移送されることになった。しかも、そこにはあの渡辺もいた。こうして、ルイは再び彼から虐待されるのだった。それは、日本の敗戦の日まで続いた。
 本作は実話だが、実際の渡辺は敗戦後米軍から戦犯として手配されたが、7年間も逃亡を続け、恩赦で自由になっている。ルイは、長野オリンピックの際、聖火ランナーとして来日し、捕虜たちと再会、彼らと和解したが、渡辺だけはその場に姿を見せなかった。「最愛の大地」に続くアンジェリーナ・ジョリー監督作品。日本公開前、ネトウヨが本作の原作に「日本人は人肉を食う」といった記述があるとして、「反日映画」だと決めつけ、公開を妨害しようとしていた。映画ではそんな場面もなく、むしろ捕虜虐待に対して被害者がわからの寛容の心が示されている。最後まで逃げ回り、自らの行為を反省せず、国家のためとうそぶく様は何とも恥ずかしい限りだ。

監督:アンジェリーナ・ジョリー
出演:ジャック・オコンネル、MIYAVI、ドーナル・グリーソン、ギャレット・ヘドランド、フィン・ウィットロック

2014年米映画                          上映時間:137分



サウルの息子
 1944年10月アウシュビッツ・ビルケナウ収容所。そこでハンガリー系のユダヤ人のサウルは、ドイツ軍によるユダヤ人虐殺を強制させられるゾンダーコマンドとして働かされていた。それは、次々に列車で運ばれてくるユダヤ人たちをシャワーを浴びるように言い裸にしてガス室に送ることだった。そして、死んだユダヤ人の遺体を燃やし灰にして川に捨てるのだった。その作業中、サウルは一人の少年がまだ息をしている状態でガス室から運び出されるのを見た。しかし、すぐに医者が呼ばれ、そこで殺されてしまう。その死体を解剖のために運んで、ハンガリー人の医師に「この子は自分の息子なので、最後の別れの祈り捧げたい」と申し出た。すると医師は「死体を隠しておくから、後でくるように」と言った。そこで、サウルはゾンダーコマンドのなかいるラビ(ユダヤ教聖職者)を探しまわる。そして、ついに見つけることが出来たが、サウルと話をしていてドイツ軍に射殺されてしまう。一方、サウルの昔から友人でゾンダーコマンドのアブラハムは、サウルの息子を正式に埋葬し追悼したいという話に「お前には息子はいないだろう」と言い放つ。そして、4ヶ月ゾンダーコマンドをしてきて、今度は自分たちが殺される番だという。そこで、かねてから計画してきた武装反乱を明日実行するという計画に加わるように言われる。それでもサウルは憑かれたようにラビを探し続けるのだった。
 スタンダード画面で、焦点を絞り込みサウルのアップの顔に合わされ、死体の処理などの部分はぼんやりと写っている。同胞を虐殺するよう強制され、そうした心の葛藤の蓄積を一人の少年を、正式に埋葬することで、謝罪と自からの解放が見いだせると思いつめる。死を間近にした状態のなかでの極限状況のなかでの葛藤が描かれている。最後まで、少年がサウルの息子かどうかはわからない。
 

監督:ネメシュ・ラースロー
出演:ルーリグ・ゲーザ、モルナール・レべンテ、ユルス・レチン、トッド・シャルモン、ジョーテール・シャーンドル

2015年ハンガリー映画                   上映時間:107分
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