FC2ブログ

*All archives* |  *Admin*

2019/08
≪07  1  2  3  4  5  6  7  8  9  10  11  12  13  14  15  16  17  18  19  20  21  22  23  24  25  26  27  28  29  30  31   09≫
天国と地獄
 テレビ朝日で黒澤明のリメイク作品の放映あった。さらに12月には、映画版「椿三十郎」も公開されるという。とりあえず、TV版「天国と地獄」は脚本は基本的に映画版を踏襲していて、舞台が横浜から小樽に変わっている。結論的には、がっかり、ひどいものだった。それで、黒澤版「天国と地獄」を何年ぶりかで、見直した。やはり、全然違う。
 舞台は、1960年代初頭の横浜、ナショナルシューズの常務権堂金吾は横浜の浅間台の高台に豪邸を構え、あたかも下界を見下ろすようにそびえ立ち、ガラス張りの居間は目立っていた。折しも、株主総会を控え、権堂邸にはナショナルシューズの馬場専務と石丸、神谷らの取締役が訪ねて来ていた。話題は次の株主総会で現社長を追い出し、新しい体制でもっと儲かる靴をつくろうという申し出であった。しかし、権堂は彼らの提案を一蹴し、現社長とも彼らとも違う構想を明らかにする。彼は、戦前から靴製造の見習い工からのたたき上げで、自らのコンセプトに従って靴をつくりたいという思いが強く、そのための体制を自らつくろうと画策していた。物別れに終わってしまい、怒って帰っていった馬場たちを見送ったのは、権堂の腹心の部下川西だった。権堂は豪邸をはじめ、全財産をかたに関西の靴メーカーと密かに話を進め、自社株を買い集め、その商談のために川西を翌日までに大阪に行かせ、5千万円の小切手を渡すことになっていた。そんな時、突然権堂のもとに電話が入った。「子どもを掠った、明日までに3千万円用意しろ、警察に言えば子どもの命はない」というものだった。あわてる権堂、取り乱す妻の伶子に「心配するな、金ならまた稼げばいい」と言う。すると、そこに息子の純ががひょっこり姿を見せる。純は「進ちゃんと遊んでいた」という。権堂の家には住み込みの運転手青木という父子がいた。息子は進一といい、純と同年代でいつもいっしょに遊んでいた。すると、再び電話が鳴り「子どもを間違えたが、金は出せ」というのだ。警察に通報すると、デパートの配送を装って戸倉警部以下が権堂邸に乗り込んできた。さっそく、電話回線を傍受したり、録音するために器具を設置した。再度の電話が鳴り、今度は進一の「お父ちゃん」という声まで聞こえた。青木は、権堂に金を出して欲しいと土下座して懇願する。逡巡する権堂、しかしそれでも、今日中には出発しなければと言う川西。結局要求を飲むことにする権堂。彼の会社での地位も、全財産も風前の灯火という事態になる。それで、指定された鞄には、3千万円をつめ、紙幣番号は刑事たちが総出で書き写した。それと、指定された鞄には、燃やすとピンクの煙がでる薬品を縫い込むことになった。指定された特急こだまに乗り込む権堂と戸倉以下の警察。8ミリの撮影機、カメラ等持ち込んでいると、電車のなかの電話室に権堂あての電話が入り、酒匂川の鉄橋の手前で子どもを見せるから、通過後、こだまで唯一窓の開く洗面所の7㎝のすきまから鞄を投げ出せというものだった。この指示に従い、進一は無事に解放され保護された。ここから、刑事たちの地道な捜査が進められた。一方、進一の記憶をたどり、監禁されていた場所もわかる。権堂は会社と債権者からは、厳しい状況に追い込まれていた。そんな、ある日子どもたちが、ピンクの煙が上がっていると指さすのだった。ここから、主犯の竹内を突き止めることができたのだ。しかし、戸倉は誘拐事件での刑事罰が軽いことから、もう少し竹内を泳がせ、もっと重い刑にしようとする。
 元々の原作はエド・マクベインの小説「キングの身代金」である、これを黒澤明、菊島隆三らの脚本で練りに練ったものにしている。出演者も三船敏郎をはじめ仲代達矢は言うにおよばず、志村喬、藤田進など出ているだけで存在感があるし、病院の焼却係役の藤原釜足など、ボースン役の石山健二郎とのやりとりでは笑ってしまった。いわゆる端役であっても、芸達者が配されていて、完成度を増している。それと、時代的にも翌年からは、東京オリンピックの開催で、新幹線が開業するという時であった。実際この映画の予告編を見てヒントを得て、「吉展ちゃん」事件という幼児誘拐事件も起き、低かった誘拐罪の刑罰が重罪化されたという現象まで引き起こしている。
 ともあれ、鞄を焼いた時に出たピンクの煙は映画史上で名高く、スピルバーグも「シンドラーのリスト」や「踊る捜査線」にも再現されている。かつて、映画館でこのシーンを見たときの衝撃は忘れることができない。しかし、物語的には犯人が判明した時点で逮捕するのが原則だが、泳がせ策で再び殺人を誘発するあたりは、展開としては盛り上げるのだが、やはり違和感があり、現在から見ると無理がある。そうはいっても、傑作は傑作だ。テレビ版のほうはいっぱい言いたいことはあるのだが、所詮リメイクなどすること自体無理だということを自覚すべきだ。あれでは、下手な2時間ドラマと大差ないものになっていたと思う。


監督:黒澤明
出演: 三船敏郎、仲代達矢、香川京子、木村功
1963年日本映画  上映時間143分
スポンサーサイト



テーマ : 日本映画
ジャンル : 映画

Secret
(非公開コメント受付中)

プロフィール

skdfg

Author:skdfg
FC2ブログへようこそ!

最近の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
月別アーカイブ
カテゴリー
RSSフィード
ブログ内検索
Amazon

フリーエリア

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

カレンダー
07 | 2019/08 | 09
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31