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バッシング
 北海道の海辺の町の古い公営住宅に暮らす、高井有子の一家は父の孝司と継母典子の三人暮らしだ。有子は、突然アルバイト先のホテルを解雇された。その理由は、有子が中東の戦時国家でボランティア活動をしていたところを武装勢力に拉致され、無事解放されて帰国したものの、身勝手な行動がああした事態を招いたのだから自己責任なのだという批判のバッシングに見舞われていたからであった。家には中傷の電話が掛かってきたり、コンビニでおでんを買うと、居合わせた若い男達がおでんをたたき落とし足で踏みつけたりする。帰宅した有子に声をかけた父も、有子がアルバイト先を一方的に解雇されたことに「やはり、あれが原因か」と言う。しかし、そう言った父にも工場の上司から退職を迫られるのであった。それというのも、会社に有子の行動を非難する電話やメールが後を絶たないということで、業務に支障をきたすというのが理由だ。30年間勤務してきたのだから何とかして欲しいと土下座をしてまで頼み込むが、聞き入れてもらえず、結局辞表を出してしまう孝司だった。有子も、出国までつき合っていた恋人と再会することにしたが、彼の口からでた言葉は、有子を一方的に避難するものだった。こうして、家族ぐるみで責められるなか、退職して酒浸りの父が飛び降り自殺をしてしまう。残された有子と典子。二人きりの葬式の後、典子が「あの人を帰して」と有子をぶってしまう。そして、初めて心を開いて話す二人だったが、有子は再び日本を出国するというのだ。
 あの、イラクでの拉致・監禁事件をモチーフにしているが、露骨で一方的なバッシングに対して、孤立無援でひたすら落ち込んでしまう主人公の姿が痛々しく、誰でもいいから日本の国の中での支援者を登場させて欲しかった。あまりに悲惨で、この国にはひどい人間しかいないのかということになってしまうではないか。ボランティアなど、金と時間に余裕のある人間のすることではないかということが映画のなかで語られている。しかし、主人公の有子は金もなく、大学受験にも敗し、日本では自己実現の方法を見いだせず、海外へ行って子どもたちとのふれあいで初めて自らの生きていることの意義を発見できたという。それはさておき、実際の事件において、いかな思想信条であろうとも、自国民が理不尽に拉致監禁されている現実に直面した場合、国はその救出に全力を傾注すべきであって、自己責任云々などとは、絶対に言ってはならなかったのだ。しかし、この国のトップの冷酷な言辞によって、被害者である人たちが、よってたかってバッシングを受けることになってしまったのだ。このことは、でっちあげた口実で戦争を仕掛け、多くの人々を殺害してきた事態を支持し続けたことともに決して忘れることはできない。
 余談になるが、この作品のDVDには劇場でのトークが入っているが、小林監督がギターを抱えていて、昔林ヒロシという名で高田渡に師事していたフォークシンガーだったことがわかた。映画の最後に流れた曲ともどもなかなか印象に残った。


監督 小林政広
出演 占部房子、田中隆三、香川照之、大塚寧々
2005年日本映画 上映時間82分
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テーマ : DVDで見た映画
ジャンル : 映画

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