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美しい夏キリシマ
 黒木和雄監督の戦争3部作の2作目だが、監督自身の自伝的作品と言われている。遺作となった「紙屋悦子の青春」ともども、印象に残る作品だ。
 1945年の夏、霧島地方で中国に行った両親から離れて祖父母の元で暮らす日高康夫は勤労動員で働いていた工場が米軍の爆撃に合い、命からがら逃げて助かった。しかし、その際瀕死の友人を助けることができなかった。自分が逃げて助かったことで、心に負い目と大きなダメージを受けて祖父母の家で静養する康夫。この家で家事の奉公をするなつは康夫と年齢も近く何かと心配してくれる。なつの母のイネは日高家の小作をしているが、南方に出征した夫は戦死したと伝えられ、なつの弟の稔と暮らしていた。康夫の祖父重徳は厳格で昔気質ということもあって、康夫を意気地なしと叱責する。日高家になつとともに働いているはるは周囲のすすめで戦傷兵の秀行と結婚する。結婚式には、康夫の叔母美也子も出席した。彼女は、奔放で特攻に行く昔の恋人と逢瀬を重ねる。また、イネは近くに駐屯する陸軍の豊島一等兵と親しくなる。イネのために、軍隊から食料などを持ち出す豊島。康夫は、死んだ友の妹が、故郷の沖縄から一人で霧島に疎開していることを知り、彼女に会いに行く。彼女は波という名で、一人で屋根の上に上り沖縄の方向をずっと眺めている。最初は、口も聞いてくれなかったが、2度目に訪ねた時、康夫も屋根の上に登り、波に詫びるのだった。それでも、心の痛みは癒されず、町を歩いていた時、憲兵とすれ違いざま、国旗に敬礼をしなかったとして、体罰をくらった。それ以後、ますます追い詰められた康夫は一人で裏山に穴を掘り、そこに入り本土決戦に備えると言い始める。
 康夫が黒木少年と重なり、実際空襲で友を亡くし自らが助かった経験を持ち、ずっとそのことがPTSDとなり、これをひきずって生きてきたことを主題としている。「父と暮らせば」でも同じ主題で、自分だけが生き残ってしまったという負い目を背負い、幸福というより当たり前の人生すらも否定しまいそうになる状況が描かれていた。黒木監督は、これらの作品で、あえて戦中、戦後の日常を描くことで戦争の悲惨さ非道さを胸に響くように描いている。少年康夫の負った癒えぬ心の傷とあくまでも美しい霧島の夏の対比が印象的だ。
 「美しい国」を連発するあの人は、どこがどう美しいのかさっぱり見えてこない。見えてきたのは、教育基本法を改悪し防衛省にし、仕上げに憲法までも改悪し、戦争を本格的にできる国にしようとしていることだ。これが美しいとでもいうのか。61年前、大きな犠牲のうえに二度と戦争はしないということを、憲法で合意したことを忘れないためにも、この作品は一見の価値がある。

監督: 黒木和雄
出演: 柄本佑、原田芳雄、香川照之、石田えり
2002年日本映画 上映時間118分
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テーマ : DVDで見た映画
ジャンル : 映画

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