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キャタピラー
 陸軍に召集された黒川久蔵は妻のシゲ子を残し戦地に向かった。しかし、まもなく久蔵は軍の車で帰還した。しかし、顔の半分は焼けただれ、四肢は切断され喉もやられ声もほとんど出せない状態だった。しかし、彼の軍功は並々ならぬものがあったということで、勲章を貰い少尉に出世しても帰還であった。しかし、妻のシゲ子は一目夫の変わり果てた姿を見て取り乱してしまう。しかし、夫の父や戦死した兄の嫁がこれからは「生きた軍神とも呼ばれた久蔵の面倒をみてやることが軍人の妻の務めだ」といって帰っていった。二人きりになって、シゲ子は久蔵の首を絞め「後で行きますから」と力を入れようとするが、手が止まってしまった。すると、久蔵はシゲ子のもんぺの紐をくわえて哀願するような眼差しになった。シゲ子も察してもんぺを脱ぎ久蔵にまたがった。これから、シゲ子が久蔵に食べ物を食べさせ、排泄の始末をしさらに性欲の処理までになわされるのだった。やがて、野良仕事の際にも久蔵に軍服を着せて連れて行くのだった。口の聞けない久蔵に対して村人は「軍神」様と手を合わせ、シゲ子のかいがいしい世話を賞賛する。一方ラジオからは大本営発表の勝った勝ったのニセ情報ばかりが流されるが、確実に日本は敗戦への道を歩んでいた。そんな中、停電が続き食料も配給でまともに入ってこなくなると、食事も粗末な粥しかなくなってきた。それで、久蔵は怒った表情をすると、シゲ子はたまりかねて久蔵に貰った貴重品の卵をぶつける。そして、戦地に行く前には、「うまずめ」とののしられ殴られたことを思い出しながら、久蔵をぶつのだった。それからは、性的にもシゲ子がイニシアティブをとるようになった。しかし、久蔵は中国大陸で現地の女性たちを「強姦」し殺害した時のことが脳裏に浮かぶようになり、恐怖と悔恨の気持ちに支配されていった。
 日本は中国大陸で「殺しつくし」「焼きつくし」「奪いつくす」という燼滅・掃討作戦(三光作戦)を展開した。このような残虐な対応は明らかに中国人への蔑視が広くあったと思う。この映画でもで「ちゃんころ」といった差別語で呼び、人間扱いしていない。中国人は日本人を鬼とか東洋鬼と呼んでいた。一方、アメリカは日本人をジャップと呼称し、黄色い猿と呼んでいた。一方、日本ではアメリカやイギリスを鬼畜と称していた。こうした差別と憎しみを増幅したなかで、容易に相手を殺傷していくことができたのだろう。これが戦争であり、いい戦争も悪い戦争もないということを若松監督は言いたいのだろうと思った。
 ちょっと些末なことが気になったのだが、久蔵は出征する時は確か星二つの一等兵のはずだった。そんな彼が、いかに軍功をあげようとも、爆弾3勇士といわれた人たちも死んで2階級特進したというのにちょっと過大な昇進となるのではないかと思った。その上で、生きた軍神というのも本来あり得ないということをくわえて考えると、ここにも、一方で現人神の存在を象徴させた批判ともとれる。それは、金鵄勲章を誇示するという行為も含めて、現人神の虚構をいかに具現化していくかという方法の一片として機能させられたものだと思う。敗北が決定的なのに嘘の勝利報道を繰り返した報道の反省など、どこ吹く風の昨今の状況はあの時代をいまだにこえられていない気がする。そうしたなか、ただ、食べて寝て、食べて寝てというこうした暮らしが身についてしまった現代日本への現状に対して、これでいいのかという若松監督思いが滲み出ていた作品だと思う。元ちとせのエンディングの歌もよかった。


監督:若松孝二
出演:寺島しのぶ、大西信満、吉澤健
2010年日本映画  上映時間:84分
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