2009-07-03(Fri)
自ら観察映画というネーミングで、ナレーション・テロップ無しのドキュメンタリー映画。前作「選挙」に続く2作目で、岡山県岡山市にある「こらーる岡山」という精神科診療所での山本医師と患者たちの記録だ。この患者さんたちはモザイク無しの実名で登場している。時折カメラを持った想田監督との会話が展開される。そもそも、この診療所というのも、けっこう古い住宅で、待合室も別棟の住宅だ。会わせて、牛乳などの宅配やら、食堂さらにはショートスティ用の住宅が混在している。山本医師はこの診療所で、朝の7時前には来所する患者たちの診療にあたる。ひとり一人の患者たちか、事細かに現状を聞き、最後に彼らに「どうしたらいいのか」と聞くのだ。ある人は統合失調症との数十年のつきあいで、苦しみの程を「なった者にしかわからん」と言い切る。また自殺願望にかられるという、手首に何本もの傷跡をもった女性っは「死にたい」と泣き崩れる。頭の中にインベーダーの声がするという男性は「いつか犯罪をおかすかも」とつぶやく。また高校生の時、猛勉強し無理をして発病して、山本医師に助けられたという男性は、待合室で顔見知りの患者たちに自ら作った詩をデジカメで撮った写真と一緒に披露する。彼のうんちくにもつい引き込まれてしまった。とめどなく、出てくる「小話」もおもしろい。すると「はい、カット」と笑いながら次の話題に移っていく。いっぽう、かつて結婚し、子どもが出来たが双方の親の助力がないなか、統合失調症を発病し、経験のない育児を夫の協力ないという状況下、育児ノイローゼから泣き止まぬ我が子の口を手で覆い死に至らしめたという女性の言葉もあった。
ちょうど撮影時期が「障害者自立支援法」を立法化しようという頃なので、「精神障害」という立場から当時の小泉首相批判の声もあった。法施行後、大変な困難があの人たちをおそっているに違いないという暗澹たる思いがした。それでも、健常者と「精神障害」者という間のカーテンを取っ払うという監督の狙いは見事に患者さんたちの語る思いによって開け放たれ、深く考えさせられた作品だ。
監督:想田和弘
2008年日米合作映画 上映時間:135分
ちょうど撮影時期が「障害者自立支援法」を立法化しようという頃なので、「精神障害」という立場から当時の小泉首相批判の声もあった。法施行後、大変な困難があの人たちをおそっているに違いないという暗澹たる思いがした。それでも、健常者と「精神障害」者という間のカーテンを取っ払うという監督の狙いは見事に患者さんたちの語る思いによって開け放たれ、深く考えさせられた作品だ。
監督:想田和弘
2008年日米合作映画 上映時間:135分


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