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2007/09
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めがね
 エメラルドグリーンの海と白い砂浜のある南の島の空港に降り立った一人の中年の女性。彼女が浜辺の小屋の前に行くとユージとハルナが待っていた。しばらくおいて、また一人の女性がこの空港から、大きなトランクを転がして民宿ハマダにやって来た。この民宿の主がユージで、コージという犬を飼っていた。それと、先にやって来たサクラもここに滞在し、浜の小屋でかき氷を振る舞っていた。タエコはユージに、この島の観光をしたいというのだが、この島は街と浜しかないし、たそがれるしかないと言うのだった。翌朝タエコが目覚めると、サクラが傍らに座り「朝です。お早うございます」とあいさつする。まだ眠いのということで、布団でまどろんでいたタエコの耳にピアノの軽快な音楽が聞こえてきた。誘われるように、音源を探すと浜辺に、サクラを中心に音楽に合わせて体操をする一団がいた。ユージが「これはメルシー体操です。いっしょにどうぞ」と誘うがタエコは「けっこうです」と断る。朝食は、塩鮭や卵焼きなどで、ユージが自家製の梅干しを勧め「梅はその日の難逃れ」と言う。その後町に出たタエコは特売の赤い毛糸を買い込み、浜辺で編み物を始める。その日の夜は、ユージが貰ってきた肉でバーベキューだ。ユージ、サクラ、タエコの他にハルナというこの島の高校で生物の教師をしている若い女性も加わった。翌朝、サクラが例によって枕元に座っており、メルシー体操も終わって、ユージたちが朝食を食べていると、突然タエコが精算して欲しいと言いだし、朝食も食べずにハマダを後にする。ハルナの車で島にあるもう一軒の民宿マリンパレスに向かった。しかし、ここの女将の説明では宿泊者は午前中畑で農作業をし、午後には皆で勉強会をするというのだ。何やら怪しい雰囲気にタエコはトランクを引きずり、徒歩でハマダをめざすのだった。もう歩き疲れ、トランクに腰掛け休んでいると、サクラが颯爽と自転車を走らせてきた、タエコは引き寄せられるように自転車の荷台に座り込んだ。そして、ハマダでの生活に戻ったタエコ。そこに、ヨモギという青年がタエコを訪ねて来た。彼はタエコのことを先生と呼ぶのだった。そして、貰い物の伊勢エビをゆで、皆で舌鼓をうった。その頃には、皆それぞれたそがれを満喫していた。タエコとヨモギもサクラのかき氷を初めて食べた。島の人たちも、このかき氷の対価にある人は野菜をある人はビールを、そして子どもは折り紙といった具合に皆それぞれに置いていった。そして、いつしかタエコもヨモギもメルシー体操をおこなっていた。やがて雨が降り、春から夏へと季節が変わろうとしたとき、突然サクラは姿を消していた。ヨモギもまた帰途につき、最後にタエコも帰っていった。一年後の春タエコが編んだ赤いマフラーをしたサクラがヨモギとともにユージ、タエコ、ハルナが待つ浜辺で再会するのだった。
 前作「かもめ食堂」の続編的雰囲気いっぱいの作品。ただただ、紺碧の海と穏やかな波の音に満たされ悠久大自然のなかに包み込まれ、そこに身を委ねるという、究極の癒しの画面が続く。それは、「たそがれる」と作品のなかでは表現されていたが、ちとことばを間違っているという印象を受けた。いわば「無」の境地というところではないだろうか。タエコがこの島を選んだのは、携帯電話が繋がらないという理由からだった。もちろん、テレビもラジオもパソコンなども出てこない。私自身、かつて行った西表島の浜辺で過ごしたことを思い出した。ゆったりとした時の流れを、波の音と海の青さ、さらに千千に変わる雲に見とれて過ごす時は最高だった。そうした癒しを体現できる作品。登場人物が抱える謎など、はなからわかろうとする向きには、首をかしげてしまう作品となるだろう。海と食べる楽しさを味わうための作品といえよう。


監督:荻上直子
出演:小林聡美 、市川実日子 、加瀬亮 、光石研 、もたいまさこ
2007年日本映画  上映時間106分
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テーマ : 日本映画
ジャンル : 映画

HERO
 東京地検城西支部の検事久利生公平は、沖縄、北海道、山口の地検での6年間を経て、再び東京に戻って来たところから始まる。通販グッズに目のない久利生はサッカースペインリーグのグッズをネットで購入するが、すべてスペイン語で書かれており、おまけで付いてきたスペイン語学習のCDを早速Iポッドに入れて聞いていた。そんな日々を送っていると、自分の離婚問題で手一杯の芝山が起訴した事件の法廷検事をやるよう牛丸部長から言われた久利生。最初は、本人も犯行を認めていて、簡単な裁判と思っていた久利生の前に現れたは蒲生一臣という、刑事事件で無罪獲得数日本一の敏腕弁護士であった。しかも、裁判が始まると、被告は事件当時のアリバイを申立て、無実であると主張したのであった。おりしも、大物政治家花岡練三郎の収賄事件について法務大臣が指揮権発動をおこない事件がうやむやにされそうな事態があった。実はこの事件が、久利生の事件と密接な関係があったのだ。久利生の事件の被告がガードマンとして勤務するビルにある歯科医院に、収賄事件のあった当日花岡が行って、被告と話しをしていたというのだ。そうなると、久利生の事件でも、被告のアリバイが成立するということになってしまう。こうした背景があって、蒲生が花岡の秘書の依頼で久利生の事件を担当することになったのだ。このアリバイを崩すため、事務官の雨宮舞子とともに韓国に行き証拠を探すことになる久利生だった。なかなか手強い蒲生に対して、城西支部の検事、事務官たちがバックアップするなか、ついに法廷で花岡代議士と対決する久利生。実は、久利生はこの花岡代議士とは、山口地検時代に因縁があったのだ。法廷のなかに響く、久利生の主張、そして急遽もたらされた新証拠。
 テレビ版はいちども見てはいなかったが、おおよその見当はついた。久利生が元不良で中卒から、独学で大検を経て大学に行き、司法試験を突破して検事になったということは、後で知った。検察のセットや検事たちが同じところに6年もいること。城西支部の構造、裁判所すら判事の背に本棚があるなどおもしろさいっぱいの笑える設定になっている。共演者たちも、阿部寛、勝村政信、小日向文世、八嶋智人たちがとぼけた味をだして笑わせてくれる。木村拓哉は、昨年の「武士の一分」しか知らないのだけれど、こんなものかなと思った。ただ、相手役が松たか子ということもあってか、弁護士役に松本幸四郎が出ていた。中途半端にしか演じられておらず花岡役の森田一義とともにミスキャストだと思う。この二人が違っていれば、もっとよかったと思う。とまれ、テレビ版の映画化はどうなんだろう。ハリウッドがリメイクばかりでつまらなくなっているのと同様、手堅く儲けようという意図が見え見えだから、ほどほどにして欲しい。


監督:鈴木雅之
出演:木村拓哉 、松たか子 、大塚寧々 、阿部寛 2007年日本映画  上映時間130分

テーマ : HERO
ジャンル : 映画

パヒューム
 18世紀、パリの町は悪臭に満ちていた。その中でも、一番臭かったのは魚市場だった。そのなかで、臨月を迎えた一人の女性が魚をさばいていた。すると急に産気づき、その場に倒れ込むと、赤ん坊を産み落とした。彼女は、急いでへその緒を自ら切り、再び魚屋の仕事を続けていた。以前にも、彼女は同様に子どもを生んでいた。しかし、いづれも死産であったため、魚のアラなどともに子どもを処分していた経験があった。今度も死産と思いこみ、そのままにしていたのだ、すると突然鼻をぴくぴくさせていた赤ん坊が泣き出したのだ。それで、子どもを放置していたこの母親が逮捕され、処刑されてしまった。子どもはバティスト・グルヌイユと名付けられ育児所で育てられることになった。彼は、大きくなるにつれ、あまり言葉を発することなく、特異な才能を示していた。それは、あらゆる臭いをかぎ分けるということができた。それは、かなり遠くの臭いも区別ができたのだった。13歳になると、グルヌイユは皮なめし職人のもとに売られていった。ここは悪臭漂う過酷な職場だった。それでも、黙々と仕事を続け、青年になって初めて、なめした皮をパリの町に運ぶことができるようになった。パリの町では、初めて見る様々な品々とその臭いに魅了された。なかでも、女性たちの白粉、口紅、そして香水にときめきを禁じ得なかった。そして、すれちがった少女の香りの虜になった。それで、彼女の後をつけ、そっと少女の後ろから臭いを嗅ぎ、驚いた彼女が騒ぐのを防ごうと口を塞ぎ、彼女を絶命させてしまう。その後、シャンジュ橋の上に店を構えていた香水調合師バルディーニのもとに皮を届け、その際グルヌイユが流行の香水の成分を全て言い当て、それをいともたやすく調合して見せた。グルヌイユはこれこそが、自分の天職と思い、弟子にして欲しいと申し出た。彼は、新しい香水を作れなくなっていたバルディーニに変わり次々に新しい香水を調合して、店をかつてのように繁盛させた。そして、花の香りを蒸留法によって抽出することを学んだ。しかし、この方法では、鉄などの鉱物や猫などの生物の臭いは抽出できないことを知る。さらに、高度な技術はグラースという町の職人たちが持っていることを聞き、そこで修行をすることにした。旅の途中で野宿した際、洞窟のなかで自分には体臭がないことに気がつく。そして、グラースの町を前にしたとき突如、彼を魅了する若い女性の香りが漂ってきた。そして、新しい香りの抽出法である脂に香りを移す冷浸法を習得した。するとグロヌイユは、若い女性の臭いを抽出すべく行動を開始した。
 類い希な臭覚を持った主人公が、自らの欲望を満たすために、次々に若い女性を襲うというもの。自分の欲望に正直なまま、行動を抑制できないという危ない主人公。ただ、18世紀という時代設定で、初めて成立するストーリー。あまり後味のよくない作品だった。


監督:トム・ティクヴァ
出演:ベン・ウィショー、ダスティン・ホフマン、アラン・リックマン
2006年 上映時間147分

テーマ : DVDで見た映画
ジャンル : 映画

幽閉者 テロリスト
 1972年のテルアビブのロッド国際空港事件は、学生時代だが、鮮明に覚えている。3人の赤軍メンバーが自動小銃を乱射し、内2人が手榴弾で自決、唯一岡本公三が生きて逮捕されたという事件であった。岡本は「よど号ハイジャック事件」で北朝鮮に渡った岡本武の弟であること。また自決した奥平剛士の戸籍上の妻が重信房子であることなどが報じられたものだ。この岡本公三をモデルにしたのが、「幽閉者テロリスト」である。
 映画はアラブに渡った日本人3人の活動家たちは、パレスチナのゲリラ部隊とともに武装訓練に従事していた。そして、イスラエルの空港でイスラエル武装警備兵を殲滅すべく、自動小銃と手榴弾で戦うべくゲリラキャンプを後にした。そこには、林檎の可憐な花が咲いていた。空港での銃撃戦で負傷した二人は相次いで手榴弾を爆発させ自決した。残されたMも手元の2個の手榴弾をひとつは、警備兵めがけ投げ残りを自決用にピンを引き抜いたのだが、不発。すぐさま駆け寄った兵備兵に逮捕された。「殺せ」「死なせてくれ」と叫ぶM。しかし、逮捕された彼を待っていたのは、過酷な拷問であった。両手を鎖で固定され、真っ暗で小さな箱状の中につながれ、食事も手を固定したままの犬食い状態。しかも、水すら満足に与えられず、排泄も垂れ流し状態で、時々水を掛けられるのだった。さらに、自白剤をはじめとした、大量の薬物を注入される。そして、水滴を頭の上に何時間も落とし続ける。こうしたなか、死にたいという願望にとりつかれるM。本当はあの闘いで、死んでオリオンの三つ星になるんだという思いがつのるのだった。そして、次の作戦について自白すれば、拳銃を渡すという言葉に乗せられてしまう。しかし、作戦は変更しており、渡された拳銃をこめかみに向け引き金を引き続けるが、弾丸は入っていなかった。それからも続く、拷問にしだいに精神をむしばまれていくM。すると、19世紀フランスの革命家ブランキやルパシカを着て鎌とハンマーのソ連国旗をマフラーにした男などの幻影と話すM。そして、悔い改めろ執拗に責める教戒師。しだいに現実と空想、過去の回想とがかけめぐる。
 今日のアルカイダをはじめイスラムの「自爆テロ」の先駆となったのが、テルアビブ・ロッド国際空港事件であったことは、言うまでもない。また、9.11もかつての神風特攻隊の大型版と言えよう。こうした命を的にした戦術が日本で考案され実践されてきたことが、今日にまで引き継がれているというのも、考えさせられる。ともあれ、映画ではすさまじい拷問と薬物の投与で精神が瓦解していく一方で過去に思いをはせつつ、死ぬことで完結する闘いという思いに突き動かされながら、精神世界での葛藤が重苦しい音楽の中で展開する。田口トモロウの怪演が光っていた。


監督:足立正生
出演:田口トモロヲ 、PANTA 、荻野目慶子
2006年日本映画  上映時間113分

テーマ : DVDで見た映画
ジャンル : 映画

天国と地獄
 テレビ朝日で黒澤明のリメイク作品の放映あった。さらに12月には、映画版「椿三十郎」も公開されるという。とりあえず、TV版「天国と地獄」は脚本は基本的に映画版を踏襲していて、舞台が横浜から小樽に変わっている。結論的には、がっかり、ひどいものだった。それで、黒澤版「天国と地獄」を何年ぶりかで、見直した。やはり、全然違う。
 舞台は、1960年代初頭の横浜、ナショナルシューズの常務権堂金吾は横浜の浅間台の高台に豪邸を構え、あたかも下界を見下ろすようにそびえ立ち、ガラス張りの居間は目立っていた。折しも、株主総会を控え、権堂邸にはナショナルシューズの馬場専務と石丸、神谷らの取締役が訪ねて来ていた。話題は次の株主総会で現社長を追い出し、新しい体制でもっと儲かる靴をつくろうという申し出であった。しかし、権堂は彼らの提案を一蹴し、現社長とも彼らとも違う構想を明らかにする。彼は、戦前から靴製造の見習い工からのたたき上げで、自らのコンセプトに従って靴をつくりたいという思いが強く、そのための体制を自らつくろうと画策していた。物別れに終わってしまい、怒って帰っていった馬場たちを見送ったのは、権堂の腹心の部下川西だった。権堂は豪邸をはじめ、全財産をかたに関西の靴メーカーと密かに話を進め、自社株を買い集め、その商談のために川西を翌日までに大阪に行かせ、5千万円の小切手を渡すことになっていた。そんな時、突然権堂のもとに電話が入った。「子どもを掠った、明日までに3千万円用意しろ、警察に言えば子どもの命はない」というものだった。あわてる権堂、取り乱す妻の伶子に「心配するな、金ならまた稼げばいい」と言う。すると、そこに息子の純ががひょっこり姿を見せる。純は「進ちゃんと遊んでいた」という。権堂の家には住み込みの運転手青木という父子がいた。息子は進一といい、純と同年代でいつもいっしょに遊んでいた。すると、再び電話が鳴り「子どもを間違えたが、金は出せ」というのだ。警察に通報すると、デパートの配送を装って戸倉警部以下が権堂邸に乗り込んできた。さっそく、電話回線を傍受したり、録音するために器具を設置した。再度の電話が鳴り、今度は進一の「お父ちゃん」という声まで聞こえた。青木は、権堂に金を出して欲しいと土下座して懇願する。逡巡する権堂、しかしそれでも、今日中には出発しなければと言う川西。結局要求を飲むことにする権堂。彼の会社での地位も、全財産も風前の灯火という事態になる。それで、指定された鞄には、3千万円をつめ、紙幣番号は刑事たちが総出で書き写した。それと、指定された鞄には、燃やすとピンクの煙がでる薬品を縫い込むことになった。指定された特急こだまに乗り込む権堂と戸倉以下の警察。8ミリの撮影機、カメラ等持ち込んでいると、電車のなかの電話室に権堂あての電話が入り、酒匂川の鉄橋の手前で子どもを見せるから、通過後、こだまで唯一窓の開く洗面所の7㎝のすきまから鞄を投げ出せというものだった。この指示に従い、進一は無事に解放され保護された。ここから、刑事たちの地道な捜査が進められた。一方、進一の記憶をたどり、監禁されていた場所もわかる。権堂は会社と債権者からは、厳しい状況に追い込まれていた。そんな、ある日子どもたちが、ピンクの煙が上がっていると指さすのだった。ここから、主犯の竹内を突き止めることができたのだ。しかし、戸倉は誘拐事件での刑事罰が軽いことから、もう少し竹内を泳がせ、もっと重い刑にしようとする。
 元々の原作はエド・マクベインの小説「キングの身代金」である、これを黒澤明、菊島隆三らの脚本で練りに練ったものにしている。出演者も三船敏郎をはじめ仲代達矢は言うにおよばず、志村喬、藤田進など出ているだけで存在感があるし、病院の焼却係役の藤原釜足など、ボースン役の石山健二郎とのやりとりでは笑ってしまった。いわゆる端役であっても、芸達者が配されていて、完成度を増している。それと、時代的にも翌年からは、東京オリンピックの開催で、新幹線が開業するという時であった。実際この映画の予告編を見てヒントを得て、「吉展ちゃん」事件という幼児誘拐事件も起き、低かった誘拐罪の刑罰が重罪化されたという現象まで引き起こしている。
 ともあれ、鞄を焼いた時に出たピンクの煙は映画史上で名高く、スピルバーグも「シンドラーのリスト」や「踊る捜査線」にも再現されている。かつて、映画館でこのシーンを見たときの衝撃は忘れることができない。しかし、物語的には犯人が判明した時点で逮捕するのが原則だが、泳がせ策で再び殺人を誘発するあたりは、展開としては盛り上げるのだが、やはり違和感があり、現在から見ると無理がある。そうはいっても、傑作は傑作だ。テレビ版のほうはいっぱい言いたいことはあるのだが、所詮リメイクなどすること自体無理だということを自覚すべきだ。あれでは、下手な2時間ドラマと大差ないものになっていたと思う。


監督:黒澤明
出演: 三船敏郎、仲代達矢、香川京子、木村功
1963年日本映画  上映時間143分

テーマ : 日本映画
ジャンル : 映画

シッコ
 「華氏911」以来のマイケル・ムーア監督のアメリカの医療制度を巡るドキュメンタリー。冒頭、アメリカに5000万人いるといわれている医療保険無加盟者の男性が病院に行けば大金を取られるので、その金がなく、ぱっくりあいた足の膝付近を自らが針で縫合している場面が出てくる。その後、彼は医療保険に加入している人々を紹介する。彼らはガンなどの重い病気に罹り、保険で適切な治療を期待していたが、保険会社からは、お抱え医師たちによる治療を妨害して、結果的に死に追いやられた人々の姿を映し出した。アメリカは先進国で唯一公的な医療保険がなく国民皆保険ではないのだ。それで、こうした医療保険は民間が取り扱っているのだ。例えば交通事故で救急車で病院に運ばれた際、保険の条項で救急車を使用する場合あらかじめ連絡すしなければならないという一項があるため、救急車の費用(アメリカではこれも有料)を事故で負傷した本人負担となるというのだ。こんな状況のアメリカから、ほんの一跨ぎ隣国カナダに行くと事情は一変する。ここカナダでは、医療費は全て無料だ。さらに、ヨーロッパのフランスでも全て医療費は無料。さらにそれは、外国人にも適応される。また、子育てにおいても、医療は無料ということに加えて、新たに母親になった女性に子育て支援の女性が週に2、3度訪問支援で子育てのアドバイスをはじめ、様々な家事の手伝いをしてくれる。さらに英国でもフランス同様、医療費は無料。低所得者には、病院までの交通費まで逆に支給してくれる。引退したイギリスの元政治家は「こうした医療制度は1948年からおこなわれている。それは、第二次世界大戦で多大な被害をうけたなかで、互いに助け合おうという相互扶助の精神から始められたもので、民主主義の根幹だ」と話す。フランスでも、こうした医療制度を多くのフランス人たちが支持し、何かことあるごとにデモなどの示威行動によって政治家たちに訴えるという民主主義の原則を行使しているというのだ。それにくらべ、アメリカでは大学に行っても多くの学生たちが借金を背負い込まされ、その結果従順な労働者として生きて行かざるを得ないという現実を対比させる。こうした一方、9.11テロでグランド・ゼロでの救出や、その後の支援活動に従事した地元の消防や警察以外の人々に対して、寄付で運営する救援基金は、厳しい査定がある。それで、健康を害した人々が充分な医療を受けられず、苦しみ続けていることも明らかにされる。しかし一方、このテロを実行したとされるアルカイダ系のグループをはじめ多くのイスラム系活動家たちは逮捕されると、キューバのなかにあるアメリカ領、ガンタモナ刑務所に収監されている。そんな彼らは、ここにある最新の設備とスタッフで医療サービスを受けている。そこで、ムーアは医療難民たちとアルカイダと同様な治療をやって欲しいと訴えるだった。しかし、一切無視され、ムーア一行はキューバに上陸しハバナの病院を訪ね、多くの疾病に苦しんでいることを説明すると、最新の医療機器を使っての治療を受けることができたのだ。また、インタビューには
ゲバラの娘が医者となっていて、キューバの医療状況を説明する。
 かつて、ヒラリー・クリントンはファースト・レディ時代、国民皆保険を導入すべきだという主張をしていた。しかし、この提案に対して「社会主義」的だといった的外れな批判を含め非難の集中砲火を浴びた。それで、その主張を引っ込めると、こんどは手の平を返すように医療保険会社から、ヒラリーのもとに政治献金が多くよせられたという。今年、「シッコ」が米で注目されたのを受けてか、来年の大統領選にむけ、ヒラリーが久方ぶりに国民皆保険を主張したという。負けじとオバマも、同様の主張をし始めたという。それはともかく、日本の健康保険も小泉政権で、三方一両損という例によってわけのわからない例えを引っ張り出し、医療制度を改悪した。老人医療を無料から本人負担を強いたり、一般の本人負担を2割から3割にしてきた。こうした一方で、格差拡大のなか、国保税の滞納者が増えている現状があり、国民皆保険の原則下でありながら、保険証をとりあげられている人もいるという。小泉・竹中のアメリカ追随新自由主義路線で郵政民営化も含めただただアメリカを利し、アメリカ型格差社会への道を切り開かれてしまい、医療においても自己責任という、政治が自らの任務を放棄してしまうという現状になっている。それは、年金問題でも明で、官僚たちが天下る財界へに対しては優遇税制をはじめ、税金を使っての仕事の発注という構造、そこに介在する政治家たち。松岡問題の闇もうやむやのまま、こうした政・官・財の癒着は依然として揺るがない。この映画を観ただけで、いろいろ考えさせられてしまった。

監督:マイケル・ムーア
出演:マイケル・ムーア
2007年米映画  上映時間:123

テーマ : シッコ
ジャンル : 映画

蒼き狼
 横綱朝青龍が故郷モンゴルに帰って静養するということで連日マスコミを賑わしているが、モンゴルをして世界覇者として君臨したチンギス・ハーンを描いた「蒼き狼」を観た。
 1161年モンゴルの大地を疾走する馬車と騎馬の一団に襲いかかる騎馬団。襲われ馬車を残して逃げていったメルキド族。馬車にはメルキド族イェケ・チルドの妻ホエルンが残された。彼女は当時のモンゴルの定めで、モンゴルの族長イェスゲイの妻となったの。その後、タタール族を破り、勇敢に戦った相手の名テムジンをホエルンの生んだ男の子に与えたイェスゲイ。父から神から使わされた蒼き狼の末裔としてあることを誇りにせよと教えられた14歳のテムジンはオンギラト部族の族長デェイ・セチェンの元を訪れ、娘のボルテと婚約をする。また、ボルテの幼なじみのジャムカと意気投合し、生涯にわたる友情を誓う按達(アンダ)の誓いをするのだった。しかし、そんなテムジンのもとに父イェスゲイがタタール族に毒殺されたという知らせが届いた。すると新しく族長となったタルグタイはテムジン親子を残して、一族を引き連れて去っていってしまった。残された、テムジンたちは家族で力を合わせてがんばっていてのだが、義理の弟たちがテムジンに「メルキドの血を受けた者は蒼き狼の末裔ではない」と言い放ち母を侮辱したことで、彼らを殺してしまうテムジン。その後、献身的なテムジンの働きにかつての部族の仲間も戻ってくるようになった。苦節7年ようやく、生活基盤を整えたテムジンはポルテを迎えに行った。しかし、7年の時を経てポルテはジャムカの許嫁となっていた。しかし、ポルテがテムジンを選び晴れて結婚することになった。それから、今後のことを考え、大国ケレイトの王トオリルの元を訪れたテムジンは彼への忠誠を誓った。それからまもなく、ホエルンの元夫イェケ・チルドが大きくなったテムジンの集落を襲いボルテを拉致していった。テムジンはトオリルとジャムカの力をかりて数ケ月後ようやくメルキドからポルテを連れ戻すことができた。しかし、ポルテは妊娠していた。生まれた子供はジュチ(よそ者)と名付けられた。当初、生まれた子は誰の子かわからないということで殺されようとしていたのをホエルンに止められて、こうした名をつけられたのだった。やがて、大きく力を持つようになったテムジンに、ジャムカが自分こそモンゴルの覇者になるという意気込みでトオリルをも巻き込んでの闘いになってしまう。心ならずも、応戦しジャムカを捕らえたテムジン。そして、ついにはモンゴルを統一し、さらに隣国金へと軍をすすめるチンギス・ハーンとなったテムジン。その過程で我が子ジュチを亡くして初めてしる父子の愛。
 モンゴル統一の歴史をチンギス・ハーンの半生として描いたものだが、ダイジェスト版よろしくあまりに展開が早すぎて、人間ドラマが希薄になっている。それと、主役の反町隆史がせりふまわしが下手。声を押し殺しすぎ、叫び声も通らず、いかにも肩を怒らせすぎの感があった。あわせて、菊川怜もまたふくれ顔で学芸会なみの芝居で幻滅。総じて、モンゴルの地元の人々を大勢集めただけの大ずっこけ映画。歴史も人間も薄っぺらなダイジェスト版の作品としか云いようがない。


監督:澤井信一郎
出演:町隆史 、菊川怜 、若村麻由美 、Ara 、松山ケンイチ
2006年日本映画  上映時間136分

テーマ : DVDで見た映画
ジャンル : 映画

チルソクの夏
 下関と釜山は姉妹都市と言うこともあって、親善事業の一環として毎年夏に関釜陸上競技大会が開催されていた。この年1977年は釜山で開かれ、下関の高校生たちがやってきた。その中の長府高校陸上部の郁子は、走り高跳びの選手で仲良しの3人の仲間と釜山の町を観光していた。大会では、男子走り高跳びの韓国の安大豪からアドバイスを受け、郁子は自己記録を更新した。歓迎レセプションの後、政情が不安定で夜間戒厳令が出されていたにもかかわらず、郁子たちの宿舎を訪ねてきた安。彼は木に登り、窓越しで、互いの住所を教え、来年の七夕(ハングルでチルソク)また会おうと約束するのだった。帰国後、二人は文通を始める。しかし、二人の両親は理解を示さない。郁子の父は、ギター抱えての流しをしているが、カラオケに押されて仕事にいきづまっており、娘と韓国の青年のつきあいに露骨に反対する。しかし、郁子は陸上部のトレーニングと家計を助けるため、毎日走って新聞配達をしていた。一方、安の母親も日本の植民地時代に親族が日本人に殺されたということから、いまだに日本に対する悪感情を持ち続けていた。それでも、郁子の陸上部の仲間である真理、巴、玲子は一緒にハングルを勉強していた。そして、翌1978年の大会が下関で開かれた。安もやって来た。1年ぶりの再会に心をときめかせた郁子。歓迎レセプションの席上、安は日本語で「なごり雪」を歌った。すると韓国の関係者からすぐに制止され、怒られたのだった。当時、韓国では日本の歌をはじめ映画等見ることも聞くことも禁じられていたのだ。それでも、3人の友だちたちの協力によって、やっと二人で会うことができた。その後、この大会も中止となったが十数年後再会されることになった。
 現在でも、在日朝鮮人への差別と偏見が存在しているが、もっと露骨で色濃く差別あった時代の物語。下関出身の佐々部監督の作品で、「カーテンコール」より製作はこちらの方が2003年で1年前だが、時代は1977年で「チルソクの夏」の方が後の話である。まだ、インターネットでのメールや携帯電話もなく、文通というアナログだがけっこう暖かみのある伝達手段というのもよかったなと、つい思ってしまう。もちろん、韓流ブームなど夢のような話で、互いにまだまだ反目と憎しみという国民感情を底流持つ時代だった。そうした背景を知る上で、「カーテンコール」とともに観ることによって、自らの韓国・朝鮮との関係を見直す良い契機となる作品といえる。それと、「スイングガールズ」に出演前の上野樹里が出ており、やはり光っていた。また、イルカのエンディングで流れる「なごり雪」のハングルバージョンもよかった。


監督:佐々部清
出演:水谷妃里 、上野樹里 、山本譲二
2003年 114分

テーマ : DVDで見た映画
ジャンル : 映画

ハンニバル・ライジング
 1944年第二次世界大戦下のリトアニアは、独軍の占領下にあった。レクター家は大きな城を構える貴族であった。この地にも独軍の侵攻があるということで、一家は郊外の山小屋に非難することになった。しかし、そこにも独軍がやってきた。その時連合軍の空襲があり、ハンニバルと妹のミーシャを残して父母や独軍は全て死んでしまう。そこへやって来たのは、リトアニアの独軍協力者たちであった。それというのも、ソ連軍が近くまでやって来ているからであった。雪に覆われ、食料が尽きたところでハンニバル兄弟に彼らの視線が集まり、やがてミーシャを殺して食べてしまったのだった。次はハンニバルというなか、ソ連軍が包囲しハンニバルは助けられたが、監禁していた男たちはほとんど逃げてしまった。戦後、リトアニアはソ連邦のなかに組み込まれ、レクターの城は孤児院となり、ハンニバルもそこに収容されていた。7年後、ハンニバルは絶え間ない虐待にがまんできず脱走する。何とか逃げ延び、フランスの叔父の居城にたどり着いた。しかし叔父はすでに、病気で亡くなっていた。いたのは連れ合いのレディ紫であった。彼女は日本人であった。ここで、一緒に暮らすことになったハンニバルは、伯母から代々続く家宝の甲冑と日本刀を見せてもらう。そして、紫から剣道を習うのだった。そんなある日、紫とハンニバルは一緒に買い物に出かけた折、肉やの男が紫が日本人であるということで、卑猥な言葉でおとしめたのであった。すると、ハンニバルが彼に一撃を加えたのであった。さらに、釣りをしていた肉やを、ハンニバルが日本刀で襲い首をはねてしまった。警察が出動し、ハンニバルは逮捕されるが、うそ発見器にも反応をしめさなかった。紫の機転で何とか窮地を脱し、相続税支払いのため紫はパリに移住することになった。ハンニバルもまた最年少でパリの医大に合格し、パリに行くことになる。そこで、医学を学びながら、アルバイトとして死体の解剖の業務に携わるのだった。やがてフランスのパスポートを持って故郷のリトアニアに旅する。そして、妹の仇の一団を捜すため、かつて隠れていた山小屋の廃墟に行き、母が隠した宝石を手に入れ、仇敵の一人を見つけ後の仲間の行方を聞き出した後、彼を殺してしまう。帰国後、彼らがフランスにいることを突き止め復讐を開始する。それは紫をも巻き込むことになった。
 そもそも「羊たちの沈黙」から始まったハンニバル・レクターシリーズの原点の作品。レクターのカニバリズムの原点も明らかにされる。そして、「羊たちの沈黙」で護送中の拘束服とともに被された防護面を連想させる甲冑の面、さらに首を切ることが日本のさらし首に原点があることも明らかになる。ただ、レディ紫を演じているのがコン・リーというのが気になった。どうしても、立ち居振る舞いに違和感があった。それと、やはり日本への誤った見方があるのだとも感じた。とまれ、娯楽作品なのだから、こんなものかな。


監督:ピーター・ウェーバー
出演:ギャスパー・ウリエル 、コン・リー 、リス・エヴァンス
2007年英仏他作品  上映時間121分

テーマ : DVDで見た映画
ジャンル : 映画

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