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長い散歩
 名古屋で高校の校長をしていた安田松太郎は妻節子の葬儀の際、一人娘の亜希子に「この家はお前にやるから、戻ってきて一人で住むがいい」と言った。しかし、娘はそれを拒絶し「人殺し」と言うのだった。家庭のことは妻に任せきりだった父親に反抗し、万引きの補導歴のある亜希子は警察に来たとき、理由も聞かずいきなり亜希子を殴りつけ、校長としての面子を傷つけられたという体面ばかり気にしていた。それ以降、節子は自分を責めるなかで、アルコール依存症になり、とうとう亡くなってしまったのだ。定年をすぎている松太郎は、一人で家を出て、郊外のアパートを借り一人住まいを始めた。隣室はホステスをしている横山真由美という女性で、子どもと情夫の水口の3人暮らしをしていた。松太郎は荷物を解き、愛読書のなかにはさんであった一枚の写真を見つけた。その写真は親子3人で登山した際に撮ったもので、裏には「おーい君、おーい天使、おーい青い空、松太郎」と書いてあった。それとともに、妻の位牌を本棚の上にかざり、物思いに耽っていたとき、隣から少女の叫び声が聞こえた。彼女は毎日、母親の真由美から虐待を受けていたのだ。5歳になる少女は、いつもボール紙でつくった天使の羽を背負い、毎日家にいたが、真由美から投げ捨てられた硬貨を拾って、メロンパンとコーヒー牛乳で飢えをしのいでいた。その後、水口が暴力をふるって真由美から金を奪うという場面にも遭遇するが、何もできない松太郎だった。そんなある日、母親に首を絞められて、逃げ出した少女の後を追った松太郎は、少女が林のなかに秘密の隠れ場所を持っていることを知った。それから、その場所で何度かいっしょにいることにした松太郎は、身体を鍛え、少女のすばやい動きについていけるようになっていった。ある夜、酔って帰ってきた水口が少女をいたぶり悲鳴が上がった時、松太郎がいきなり青竹で水口に一撃を食らわした。逃げていた少女に追いついた松太郎は少女に「おじいちゃんと青い空を見に行かないか」と言うのだった。うなずく少女とともに、旅に出た松太郎。最初は虐待を受け続けていた少女は、自らの名前すら言わず、かたくなで粗暴な態度だった。やがて、少しずつ心を開きサチと名乗った。そんな旅先で一人の青年と知り合う。彼は帰国子女のワタルといい、それまでいたザンビアでの過酷な事態に心を痛め、引きこもりの経験を持ち、帰国してからも日本の生活になじめないままにいたのだ。そして、奇妙な3人での旅となった。ワタルはサチともすぐにとけ込み、初めて笑顔を見せるのだった。
 いっぽう、真由美はサチがいなくなって2日後、はじめて警察に届けたのだった。しかし、警察でもさっさと探せと言い放ち、親としての態度を疑われていた。突然、ワタルが拳銃自殺をし、二人の足取りがわれた。追い詰める警察。しかし松太郎は、警察に電話をして、サチが虐待を受けていたことを話し、見過ごせなかったと言う。彼は、妻を死に追いやり娘とも絶縁状態になったことへの贖罪の旅を妻の位牌とともに続けていたのだ。
 現代の疎外された親子関係と、幼児虐待の問題をテーマに、家庭をあまりかえりみず、自らの出世と世間体を気にしてきた男の旅を通しての自省を描いた作品だ。緒方拳演ずる松太郎が、不器用ながら少女サチの心をやさしくうち解けさせていく過程がいい。そこには、妻と娘への贖罪の思いが重なり合っている。高岡早紀も、難しい役どころをうまく演じている。奥田瑛二監督の前作「るにん」にくらべて格段にこの作品の方がいいできだと思う。


監督:奥田瑛二
出演:緒形拳 、高岡早紀 、杉浦花菜 、松田翔太 2006年日本映画 上映時間136分
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テーマ : DVDで見た映画
ジャンル : 映画

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