2009-07

ディスタービア

高校生のケイルは前年父と二人で釣りに行き、帰宅途中で交通事故に遭い、父は亡くなってしまった。以来、父の死に後ろめたさを感じていた。そんな彼に無神経な言葉をかけた教師を教室で殴ってしまい、3ヶ月の自宅謹慎を命じられた。足首につけられた発信器で自宅から敷地内を出るとアラームが鳴り、即警察官が駆けつけるという仕組みになっている。当初、ネットゲームに夢中になっていたが、母親のジュリーに、契約を解約されてしまう。退屈な日々をごろごろしながら過ごすとのだが、訪ねてくる親友のロニーとある日、近所の様子を双眼鏡やビデオカメラで盗み見する。そして、隣に越してきた家族のなかに、アシュリーというかわいい高校生がいるのを見つけた。以来、すっかりアシュリーのことを見続けていた。そして、彼女と知り合い、ケイルたちの行動を知るが、彼女も仲間に入り三人で近所の様子を見続けていた。そのなかで、隣のターナーの行動に疑問を持ってしまう。それというのも、大きく凹んだ車がきれいに修理されていたり。独身の彼の家にきた女性の姿が見えなくなったりすることに気づくのだった。ケイルたちはネットで検索しながら、ひょっとしてターナーが連続女性殺人犯なのではという疑問を持ってしまう。動きのとれないケイルは、出かけたターナーをアシュリーに尾行させ、その隙にロニーを隣家にしのび込ませたのだった。彼らの疑問は解消するのか。
 訴訟騒ぎもあったように、明らかにヒッチコックの「裏窓」を念頭にした作品であることは間違いない。主人公は今や超売れっ子といっていいシャイア・ラブーフだが、母親役に「マトリックス」のキャリー=アン・モスが出ていた。けっこう見せ場もあり、そこそこのできだとおもった。

監督:D・J・カルーソ
出演:シャイア・ラブーフ 、デヴィッド・モース 、サラ・ローマー 、ヴィオラ・デイヴィス
2007年  上映時間:104分

テーマ:DVDで見た映画 - ジャンル:映画

マンマ・ミーア

 ギリシアのエーゲ海にある小島にあるリゾートホテルが舞台。このホテルを経営しているのがシングルマザーのドナ。そして娘のソフィは翌日島の青年スカイと結婚する。その結婚式に出席するためにソフィの友達が船で到着する。早速、ソフィは友達にあることを打ち明ける。それは、母ドナの古い日記を見つけて、あることを知ったという。実はソフィの父のことで、彼女は生まれた時から父がいなかったのだが、ドナの日記には三人の父親候補がいたことがわかった。そこで、ソフィは母ドナに内緒で三人の父親らしき人たちに結婚式の招待状を送ったのだ。何も知らないドナはターンヤとロージーという二人の親友に結婚式に出てもらうため、久しぶりに会った。そして、狭い島で一同が鉢合わせし、いよいよ結婚式当日を迎える。一体ソフィの父は誰だったのか、20年を経ての再会から展開する人間模様はどうなるのか。
 全編ABBAのヒット曲が流れるミュージカル。元々が舞台だったものを映画化した。三人の父親候補はサムとハリーとビルでアメリカ、イギリススウェーデン人という設定。ドナの親友たちも何度も離婚結婚を繰り返したり、料理本が売れているという設定になっている。ということなのだが、そもそも、父親候補の一人サムはヒッピーなので時代は1990年頃になる。すると、インターネットは普及していないはずだと思ってしまった。それに、20歳の娘をもうけてという設定の割りにはメリル・ストリープは若作りをしているのだが少し歳をくっているのではとも思ってしまった。それは、彼女の友だちたちにもいえる。最初に出てきたターニャなどはロージーの親と思ってしまった。こんなこといっても、所詮歌と踊りの他愛のないミュージカルなのだから、アバの歌を堪能するだけの作品だと割り切るべきなのだろう。


監督:フィリダ・ロイド
出演:メリル・ストリープ、アマンダ・セイフライド、ピアース・ブロスナン、コリン・ファース2008年   上映時間:108分

テーマ:DVDで見た映画 - ジャンル:映画

精神

自ら観察映画というネーミングで、ナレーション・テロップ無しのドキュメンタリー映画。前作「選挙」に続く2作目で、岡山県岡山市にある「こらーる岡山」という精神科診療所での山本医師と患者たちの記録だ。この患者さんたちはモザイク無しの実名で登場している。時折カメラを持った想田監督との会話が展開される。そもそも、この診療所というのも、けっこう古い住宅で、待合室も別棟の住宅だ。会わせて、牛乳などの宅配やら、食堂さらにはショートスティ用の住宅が混在している。山本医師はこの診療所で、朝の7時前には来所する患者たちの診療にあたる。ひとり一人の患者たちか、事細かに現状を聞き、最後に彼らに「どうしたらいいのか」と聞くのだ。ある人は統合失調症との数十年のつきあいで、苦しみの程を「なった者にしかわからん」と言い切る。また自殺願望にかられるという、手首に何本もの傷跡をもった女性っは「死にたい」と泣き崩れる。頭の中にインベーダーの声がするという男性は「いつか犯罪をおかすかも」とつぶやく。また高校生の時、猛勉強し無理をして発病して、山本医師に助けられたという男性は、待合室で顔見知りの患者たちに自ら作った詩をデジカメで撮った写真と一緒に披露する。彼のうんちくにもつい引き込まれてしまった。とめどなく、出てくる「小話」もおもしろい。すると「はい、カット」と笑いながら次の話題に移っていく。いっぽう、かつて結婚し、子どもが出来たが双方の親の助力がないなか、統合失調症を発病し、経験のない育児を夫の協力ないという状況下、育児ノイローゼから泣き止まぬ我が子の口を手で覆い死に至らしめたという女性の言葉もあった。
 ちょうど撮影時期が「障害者自立支援法」を立法化しようという頃なので、「精神障害」という立場から当時の小泉首相批判の声もあった。法施行後、大変な困難があの人たちをおそっているに違いないという暗澹たる思いがした。それでも、健常者と「精神障害」者という間のカーテンを取っ払うという監督の狙いは見事に患者さんたちの語る思いによって開け放たれ、深く考えさせられた作品だ。


監督:想田和弘
2008年日米合作映画   上映時間:135分

テーマ:日本映画 - ジャンル:映画

劒岳 点の記

 1907年時の陸軍参謀本部陸地測量部は、先の日露戦争の勝利に列強からの圧力を感じ、国内の正確な地図の作成を急ごうとしていた。三角点(経度、緯度、標高)による測量法によって作成する日本地図で唯一空白となっているのが、富山県の剣岳一体であった。実は5年前、陸地測量部の古田測量手によって剣岳の測量が試みられたことがあったものの、あまりの難所に断念せざるを得なかったのである。しかし、今回は前人未踏のこの山に結成されたばかりの日本山岳会・小島烏水らも初登頂を目指していることがわかった。参謀本部では、遊び半分の民間人に先を越されたくないという思いもあって、陸地測量部の柴崎芳太郎測量士に厳命だと言って剣岳の登頂と測量を完遂するように申しいれたのだ。芝崎は先輩である古田の元を訪ね、意見を聞いた。すると、古田は地元では立山の山岳信仰が盛んで剣岳は死の山として恐れられていて、案内人を見つけるのは難しいが、自らが経験から宇治長次郎がうってつけだと紹介してくれた。柴崎はさっそく下見に富山に向かった。駅では長次郎が待っていてくれた。彼の村までは徒歩で行かなくてはならない。そして翌日柴崎と長次郎は山麓の村の総代に挨拶に行った。彼はあからさまに、剣岳への登頂には反対の意向だった。それでも、二人は晩秋の立山山麓を出発した。一帯は山岳信仰を信ずる多くの人々が行き交っていた。そんななか、長次郎の家を出て山の案内人として働く幸助の姿もあった。二人は行けども行けども厳しい剣岳への登頂の道を見つけ出せず、苦労していた。そんな折り、日本山岳会の小島烏水の一行とも鉢合わせてしまった。しかし、思ったよりも早く冬の訪れがあり、やむなく下山することになったが、途中で山にこもる行者を助けることになった。行者は「雪を背負って登り、雪を背負って降りよ」という言葉をかけるのみだった。翌年、測量隊は柴崎の他に木山竹吉、生田信が加わり、地元からも長次郎の他に宮本金作、岩本鶴次郎、山口久右衛門らが合流した。何せ、登山だけではなく三角点を設置するのだからその装備だけでも大変だった。一行が山には入るが、あたりはまだ雪渓や氷雨に見舞われていた。それでも、一行は観測も実施しながら少しずつ剣岳に近づいていった。前年、長次郎が登ろうとしたコースを生田が挑戦するが、あえなく滑落してしまった。やがて、日本山岳会の五人のメンバーも登頂しようとやってきた。
 一体何のために、山に登るのか、地図の空白部分を埋めるだけのために苦労する一行。それでもCGや空撮を一切使っていない画面は美しく、そして自然の厳しさを見せつけてくれる。木村大作初監督の作品とはいえ、かつて「八甲田山」の撮影もおこなっており、同じ新田次郎原作で相通ずるものがあると思った。現代では、登山道具は進歩しているが、当時は靴からして草鞋だし、テントや食料、灯りに至るまではるかな困難な状況だったと思われる。それに、交通手段といっても、基本は徒歩だし、そんななかでの山岳信仰に集う当時の民衆の思いもよぎるものがあった。出演者では松田龍平、仁科貴、蟹江一平らの芸能人二世も多く出ていたが、同じ二世といっても香川照之は浅野忠信とともにとてもよかった。抑制のきいた演技で、惹きつけてくれた。それと、添え物気味だが、宮崎あおいはやはり見とれてしまった。それでもなお、素晴らしいのは立山連峰から一望する山々の四季の景色は天下一品だ。


監督:木村大作
出演:浅野忠信、香川照之、中村トオル、松田龍平、モロ師岡、宮崎あおい、役所広司
2009年日本映画  上映時間:139分

テーマ:日本映画 - ジャンル:映画

レスラー

  1980年代人気プロレスラーだったランディ・ザ・ラム・ロビンソンは今は落ち目で、ドサ回りのプロレスを続けていた。しかし、収入は減り、今や住んでいるトレラーハウスの家賃にも困るほどだった。今や耳も悪く、ステロイドを使ってやっとのことで見せかけの体を維持していた。それでも、試合になるとラフプレイの連続で、満身創痍状態だった。そんなランディの唯一の楽しみはストリップパブで働くキャシディに会いに行くことだった。そうした無理がたたって、ある日試合の後、ステロイドの副作用で心臓発作を起こし倒れてしまった。緊急手術を終えたランディに対して医者はもうプロレスは無理だと宣告した。そこで以前からやっていたスーパーでのアルバイトの時間を増やすことにして、プロレスも引退することにした。思い悩んだランディは、キャシディに相談するが彼女はランディの娘ステファニーに会うように勧める。しかし、ランディは長い間娘とは会っていなかった。今さら、どの面さげて会えばいいのかと迷っていた。それでも、意を決して娘を訪ねた。娘は冷たく会いたくないと言う。そこで再び、キャシディに相談するランディだった。やっとのことで、娘と話すことが出来たランディはしばらくぶりで娘と心を通わす。いっぽうキャシディは息子がいることを打ち明け、ランディとのことは店の客と踊り子以上の関係にはならないと言う。その一言であれたランディは、酒を飲み行きづりの女性とはめをはずす。そして、娘との約束をすっぽかしてしまった。それで、もう2度と会わないし、声も聞きたくないと言われてしまう。そこでランディは因縁の相手ジ・アヤトラーと20年ぶりの再戦を決意する。そして、心臓手術の傷を目立たなくして、リングに立つのだった。
 かつて、俳優からボクサーへの転身をはかり、日本での試合でも「猫パンチ」と揶揄され、さんざん不興をかったミッキー・ローク。しかし、この作品では、かつての栄光を引きずり、過酷な戦いを展開していく老いたプロレスラーを好演した。皆、現実の映画界でのミッキー・ロークの姿をダブらせて見ると思うので余計に印象が深くなる。それにしても、つい先日日本でも2代目タイガーマスクの三沢選手がリング上の事故で亡くなっている。こうした現実も含め、途中からラストの予想はこれしかないと思うのだが、その通りの展開になっていった。



監督:ダーレン・アロノフスキー
出演:ミッキー・ローク、マリサ・トメイ、エヴァン・レイチェル・ウッド
2008年米映画 上映時間:109分

テーマ:映画館で観た映画 - ジャンル:映画

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